FUJI ROCK FESTIVAL ‘21

δ株が猛威を奮い、COVID-19の陽性者数は急激にインフレし、首都圏では緊急事態宣言が発出していた最中でした。開催に関し賛否渦巻く嵐の中、主催側も参加者側も、各々がそれぞれの厳戒態勢で迎えた日。

当日までの数ヶ月は、一切外食もせず自宅以外ではぼっち飯オンリー。

体調は良好、平熱、当日朝の抗原検査は無事陰性。

最終日のみ、単騎で自家用車で直行直帰での参加です。

 

一昨年と同じ場所で道を間違えたりしつつも、辿り着いた朝の苗場は空ピーカンなり。

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8時半過ぎ頃にアーティスト物販売り場で脱出系亞種音Tシャツをゲット。

この時点でMサイズは既に完売しておりました。ヒェ。

 

主催発表によると参加者は例年の1/3程度であったとのことで。

物販でも、飲食ブースでも、トイレでも、ほぼ並ぶ場面はなかったです。

せいぜい1~2人待ち程度。

唯一列を成していたのはトイレの外の手洗い所でした。

私が見た限りでは、全員が設置されたハンドソープで手を泡立て、30秒程度しっかり洗っていました。ハンドソープのリッチな香りとひんやりした山の水が気持ち良かったです。

 

同行者と穏やかに語らう方々以外に声も聞こえず、広い空間では混雑も全く発生せず。

ご覧の通り、無造作に撮っても人がほとんど映り込まないレベルです。

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各ステージのアリーナ前方にはソーシャルディスタンスの目印が等間隔にバミってありました。

映画館の座席よりもうちょっとゆったりした幅です。

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お昼頃までは晴れていましたが、午後は土砂降ったり止んだりを繰り返す天候に。

一昨年に食べ損ねたリベンジで真っ先に苗場食堂へ駆け込みきりざい丼を確保。

その他狙いをつけていた屋台を渡り歩いて、まずは食い倒れツアーです。

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美味しかったー!

(上からきりざい丼、エスプレッソトニック(ノンアル)、アボカドチーズポテト、レーベンブロイ(ノンアル)、ヴィーガンカレー)

 

ところ天国の川べりで足を休めている間、木々を超えて風に乗って響いてくる音楽と川のせせらぎのハーモニーがとても心地良かったです。

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グリーンステージの芝生でぼんやりしていると、朝日新聞の記者さんに軽い取材を受けました。

私はのっけから、敢えてステージ前方から観客が密集して見える構図を使用するのはやめて欲しいと文句を言い(笑)、いくつかの質問に答える中で、飲食業界以上に悲惨なことになっている音楽業界の窮状や、実際にこの場で感じた対策として良いところ、足りていないところをそのまま事実としてきちんと書いて欲しい、とお願いしました。

記者さんは、皆きちんとガイドラインに沿って行動していて吃驚した、変に騒ぐ人もいない、皆マスクをして、前方も意外と密になっていない、と感心されていました。

フェスは好きですか?と聞かれました。

はい、大好きです。私が初めて行ったライブがフェス(SUMMER SONIC)だったので、このごった煮のお祭り空間は心の実家のようなものです。防疫と経済がどうにか両立できるポイントを探って、ウィルス死も経済死も最低限で救える、フジロックが一つの例としてフェス業界の光明となると良いな、ということなどをお話ししました。

 

色々なアーティストさんを覗いて楽しんでおりましたが、ここでは一気に平沢進+会人の感想に参りましょう。

 

前のアーティストのFINALBY()さんの巨大三角コーン等の舞台装置が舞台袖に捌け、逆側の袖から機材が来るのかな?とワクワクしていたら、ド正面の幕が上がり、ドラム!鉄棒レーザーハープ!テスラコイル!とドンドンドン!と搬入されてきました。ずっと真後ろで待機してたんですか機材の皆さん!

会然TREK2K20▲03の時のような布陣ではないかと当初は予想。いつもステージ下手側のTAZZさん前あたりを定位置としている私ですが、せっかくならレルレさんの野外ドラムを間近で浴びたいと上手側3列目でスタンバっておりました。

見事にヤマは外れ、ドラムは下手側に、上手側にはバイオリンとサイレントチェロがセッティングされました。やはり私はTAZZさんと運命の糸で結ばれているのね(←)

松村舞台監督が、珍しくマスクやパーカー的な上着を纏っておられたので、果たしてかの方が松村様なのかいまいち自信がないながらも、ギターやレーザーハープやテスラコイルを黙々とチェックされるあの凛々しいお方は松村様でした(何)

出演者ではレルレさんのみがリハーサル中に音出しチェックに現れ、ズバババン!と叩き終わると盛大な拍手が沸いていました。

転換時間は1時間ありましたが、30分程度で概ねの舞台上の準備は整ったようです。早!

 

セットリスト

出囃子(ZCONITEアレンジ)

COLD SONG

ENOLA

BEACON

Solid Air

TRAVELATOR

幽霊列車

アヴァター・アローン

消えるTOPIA

アンチモネシア

HOLLAND ELEMENT

パレード

夢みる機械

論理的同人の認知的別世界

Big Brother

救済の技法

TIMELINEの終わり

Encore:庭師KING

 

転換中の照明リハーサルを見ながらこんな照明ソムリエみたいなことを適当にほざいていたのですが、

まさか本当にアヴァター・アローンが来るとは思わないじゃない……あなた一昨年もフジロックに出場したじゃない……。

 

前回からの続投はアヴァター・アローン夢みる機械の2曲でした。今敏監督枠は白虎野と交代してパレードがINでしたね。

パレードの曲中の1拍目にバシン!!と強く打ち付けられるド派手なシンバルがとても印象深く、最高に格好良かったです。バックの映像は、巨大会人の恐怖のパレードが来る……!的な威圧感がありましたね。私が知る限りでは、少なくともHybrid Phonon以来、Aメロが毎度食い気味かつ噛み気味なのはもう癖なのでしょうか(そこがライブって感じでとても好きです)

 

不穏な出囃子は謎の黒人のシャウト?みたいな雰囲気の声が突如鳴り響き……え?何?プロレスでも始まるの?私ステージ間違えたかしら?と戸惑っているうちに、ダークファンタジックな音像から徐々にZCONITEの旋律が浮き彫りになっていく構成。アルティメットZCONITEという感じでした。

特定した人がおられましたが(凄い)、米大統領選関連で一時話題になった、とあるアメリカ人のとある方面で有名なとある演説のとある部分の逆再生だったようですね。

平沢さんは24曼荼羅の時と同じ衣装でご登場。ちょうど似たような詰襟フォルムで黒地に赤ジッパーなカラーリングの撥水ジャケットを着ていたのでちょっと嬉しい。新譜BEACONのジャケットに登場した宇宙服の頭部のようなヘルメットをかぶり、まだ落とされたままの照明の暗がりの中を緑の爪痕を刻むようにレーザーハープを奏でる姿は、ド初っ端から何らかのサイバー儀式感全開でした。

そーっとヘルメット取った後、後ろ髪をささっと整えるお姿がレアでした。良かった……何とは言いませんが一緒にスポッといったりしなくて……。

 

徐々にレーザーハープの歪んだエレクトロの歌声が四分音符を刻み出し、まさかの初手COLD SONG

おしっこちびって泣いちゃった。

魔王もう降臨しちゃいましたね。のっけからクライマックスですね。

テスラコイルと生ドラムに彩られたCOLD SONGを一度浴びてしまうと、もうCDの音源だけでは満足できない体になってしまいます。しまいました。

 

続いて奏でられるはまさかの、まさかのENOLA
レルレさんの願望がついに叶った!と喜んで飛び跳ねて腰をグキッといわしてました。

後日、非局所性緑色免疫団団長とちょこっとお話しする機会に恵まれたのですが、「平沢さんらしいですよね、ENOLAって病原菌の曲じゃないですかと言われてハッとしました。レルレさんおめでとう!の祝福モードに夢中になっていて、不覚にもその発想は出てこなかった。

中盤に、歌詞的にENOLA2っぽいなぁと思っていた消えるTOPIAも演奏されたりで、姉妹作(勝手に設定)共演だわ〜とテンション爆上がり。消えるTOPIAは突出して好きな曲なので生で聴くことができて本当に嬉しかったです。サビ(いわゆるEパート部)がシングルヴォーカルとして伸びやかに際立っていて。映像も本当にイメージそのまま解釈一致でした。

BEACONの映像もアルバムジャケットが波打った!という感じでスタイリッシュで美しかったですね。冒頭のファルセットで負担がかかったか?ウィスパーボイスとの急激な落差に少々つらそうに思えたENOLAのAメロから、ちょっとハラハラしていた懸念を思いっきり吹っ飛ばす、朗々と伸びやかな歌声が素晴らしかったです。

 

Solid Airは始まった瞬間ノイズがビャーーー!と響き渡ったのですが、ホワイトステージの音響はバリバリのノイズでも不思議と耳が痛くならない、むしろ心地良いくらいでした。平沢さんの表情でのヘルプに即座に応じてエフェクターのトラブル対処に駆け付けられた松村舞台監督も、意図的か偶然かちょうどトーンダウンする上手いところでノイズを止めたりとナイスな措置をされ、まるで元からのハードノイズアレンジのように妙に曲に馴染んでおりました。

 

「曲ののっけからビャーしてたし平沢さんがペダル踏み間違えたのでは?」

たまたまフジロック配信を見ていた知人のギター弾き「単純にライン引っこ抜けたノイズっぽくね?」

非局所性緑色免疫団団長「リハできなかったんだもんね…配線トラブルかなと思ったんだけど…」

 

果てさて、BSPでの真相解説が待ち遠しいです。

元々からの予定だったのか、視覚でリカバーしようとされたのか、ぐるんっとピシッとキレッキレのギターアクションをこなされる姿がどう考えても60代の人間の動きじゃなくて凄まじかったです。映像でしか知らない初期〜中期P-MODELの平沢さんが、髪の色だけ変えて降臨されていました。

FINALBY()さんからの転換時に、スタッフさんがステージ前方の水をジャーと滝のようにかき出していたのを見ていたため、滑って転びやしないか、または遠心力でプラチナシルバーが吹っ飛んでいかないかヒヤヒヤしつつ、そこらのフィギュアスケーター以上の体幹に感服しきりでした。膝屈伸時のバネが凄すぎる。なんですかあのサバンナのネコ科の獣のような俊敏さは。

ギターソロ部分が吹っ飛んでしまった点だけが残念だったので、また次回ライブ以降にリベンジかまして欲しいです……。

 

TRAVELATORアンチモネシアBig Brotherと、聞いてない!核P-MODELとハイブリッド仕様だなんて聞いてないぞ!ウオオオオオオオオオ!と、叫べない代わりに手を叩き飛び跳ねまくっては、その都度腰をいわしてウオオオオオオオオオとなってました(自爆)

TRAVELATOR、現在の状況から噛み締めると改めて最初から最後まで本当に響いてくるものだらけの歌詞ですね……。

アンチモネシアwithテスラコイルBig Brother(可逆的分離態様Ver.)は、初めて参加した2014年のHybrid Phonon以来の再会で懐かしさがこみ上げました。ある意味手土産予告時に示唆されていた1984年という年に意味がある、という件での関連曲ともいえるのかしら。

キミを見る、の部分などで見つめ合ってる会人さんズが愛らしかったです。

 

その、あらかじめ予告されていた手土産曲はHOLLAND ELEMENT。追加パートと追加歌詞、そして追加シャウト、イントロを重厚に飾る金管楽器群の勇ましく格好良いことといったら……!ご本人曰くのビンテージ沢さん。絶対お目にかかれるはずもなかった、中期P-MODELの平沢さんそのままの姿(白髪Ver.)を目に焼き付けることが叶いました。

 

新譜からは計6曲(出囃子含む)が登場。前述した4曲(出囃子含む)と幽霊列車論理的同人の認知的別世界

空ピーカンなり、の歌詞の通り、それまでのアーティストでは出番中一度は強い雨が降るタイミングがあったのですが、気象兵器たる平沢さんのご出演中はただの一度たりとも雨粒は降り注ぎませんでした。奇跡だ。吃驚。

論理的同人の認知的別世界では、会然TREK2K20▲03でのコヨーテの語りを彷彿とするような、会場を上目遣いに見つつのちょっぴりドヤ顔風味の語りに加え、「何人吊るす?」のところで人差し指を立てた右手で首元をスッと絞首する(むしろ斬首に見えましたよ)ジェスチャーで、はい今吊るされました心が吊るされました(心停止)

平沢さんこのときすっっっっっごい悪い顔されてましたわ……。

デンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデンデン(8分音符)のところで、平沢さんと会人さんが揃ってギターやベースのネックを地に向けて刻んでいたパフォーマンスがツボです。会然TREK2K20▲03でもありましたよね、ネックをドリルにして地を掘るような素敵ポーズ。

 

わりと全般的に、音源の方の声の出力が強いのか(一昨年のレッドマーキーでも強めに出ていたような気がする)、ユニゾンやハモリやディレイの声がデュエットや輪唱のように聞こえ、しかしそれをねじ伏せるようなリアルタイムの歌声の圧に興奮しました。

スピーカーの近くにいたお陰か、音源と生の歌声がそれぞれ異なる位相で聞こえていたので、コーラスが厚いときはライブではこっちのパート歌ってるんだ……!という感動を現地では覚えたのですが、どの曲のどの部分か失念してしまって泣きたいです。

歓声禁止が一番拷問だったのはやはり夢みる機械でしたね。

黒縁眼鏡で???分厚い本(平沢さん曰くフラッシュブック)を手にして???ステージをウロウロ歩き回るとか???お待ちくださいもうそれは擬装市民PEVOのカーヴォであってコンペリタンチップルの再来なんですよ。

このときちょうどこの帽子をかぶっていたので、f:id:tomozou_69:20210908195210j:image

ここは表参道GROUNDか!!と(錯乱)

テスラコイルフィーバータイムでいったん引っ込んだあと、掃除機ではなくデラワーカメラを手に、眼鏡も通常のリムレスにお色直しをして戻ってこられたので、先ほどのはきっとかねてより黒縁眼鏡を切望しすぎたゆえの幻覚だったのでしょう。きっとそうだ。スナップショットは前回と同じく下手側を撮られていたので、上手側から羨ましくガン見しておりました。

雲一転にわか晴れて、の部分では、一昨年に引き続き、とはいっても小道具を手にしているため前回は両手でしたが今回は慣れたように片手で悠々と会人を操る平沢さん。3番の同部分では、特に手を翳されてないのに客席全体が息ぴったりに勝手に屈伸銅線コイルのトーテムに一斉に一礼(一礼の時ちょうど目の前にTAITONIHAJIKERUDENBUがお越しくださっていてとても情緒がつらかった)、そして皆でエントロピーと、会場全体が一体感に包まれていてとても楽しかったです。

前回のご好評にお応えして、という理由から夢みる機械は選曲されたのかもしれませんが、歓声を封じられていようが体でコール&レスポンスさせてくれる、ライブならではの充足感と満足感溢れる演出にしてくださったことが本当に嬉しかったです。

 

本編の最後を飾るは、救済の技法、そしてTIMELINEの終わり

一昨年のレッドマーキーでは映像に赤帯が出たのに演奏されず救済詐欺などと言われていたものですが、ついに伏線回収です。

ここで隙あらば自分語りさせていただきます。私は平沢さんの楽曲と初めて出会った際、3曲聴いてすっかり虜となり、その時に魂が生まれ直したような感覚でいるのですが、その時の3曲がMermaid Songナーシサス次元から来た人救済の技法でした(これをホップ・ステップ・救済と自分で呼んでおります)

そして、このフジロック当日はちょうど自分の誕生日でもありました。誕生日当日に、生まれてくるキミの日フレーズを直に浴びることができ、さらにリスナーとしての魂の原点たる救済の技法まで合わせ技でいただいてしまい、その上熱望し続けていた黒縁眼鏡が、しかも本邦初白髪Ver.での黒縁眼鏡を間近にくらってしまい、平沢さんのお陰で人生最高の命日を過ごすことができました……同じ場所で同じ時間を過ごせるというだけで十分すぎる僥倖でしたが、キャパオーバーの幸せを本当に本当にありがとうございました。曲に包まれながら、降らなかった雨の分まで目から土砂降りでした。

 

アンコールは庭師KING。本来ならもう一曲、HUMAN-LEも用意されていたそうですが、ギタートラブルの影響にて残念ながら1曲のみに。万感の思いが集約されていたであろう最後の曲、なにより一番残念だったのは演者の皆様だったことでしょう。

平沢さんが足繫く通われているKENJUキッチンの店主さんが、お客さんからお勧めされてまず聴いてみた平沢さんの曲が、まさしくこの庭師KINGだったそうです(これはグッジョブなお勧めをされたお客様ご本人からお聞きしました。ほんとグッジョブ)

その後歌詞がご自分に重なるところがあると感銘を受けられ、期間限定メニュー紫峰KINGにそのお名前を冠され、それを召し上がった平沢さんが斬新なアイディアに唸り舌鼓を打たれ、そしてフジロック最終日にホワイトステージのラスト飾る曲が庭師KING……助けてください尊いマジ尊いクソデカ情緒スパイラルが止まりません……!

お二方ともどうか末永く相思相愛でお幸せでいてください……(嗚咽)

そういえば速攻帰宅して早朝に見た配信の再放送では謎のクラッチ音?が入り込んでいましたが、現地では聞こえなかったと思います。何だろうこれ。

 

熱意と言葉を尽くして、現状の打破を鼓舞していたアーティストが多数おられた中、平沢さんは一昨年と同様にMCは何もなく、本編最後と、アンコールを歌い終えた後に二度の「ありがとう」のみ。

二度目の「ありがとう」は、とても力強い響きでした。

言葉よりも何よりも、奏でられた音楽が全身全霊ですべてを雄弁に物語っていたと思います。

コロナ禍だから云々という限定的な場面に限らず、例えば災害、テロ、戦争、あるいはこのフジロックのように「人を集めるイベント」というイメージのみに過集中したヒステリックな糾弾、など、なにがしかの有事の際、情報の津波が押し寄せ溢れ錯綜し、平沢さんが仰るところの情報パンデミックに溺れそうになったとき、どう正気を保つか……言い換えれば、どうやって冷静に情報を取捨選択し、理不尽や感情的な暴走から距離を置き、己の軸を保ち、己の責任において判断し、行動していけるか。

垂れ流される憎悪に心を委ねるな、と。

あなたにはそれができる、と、力強く鼓舞されたと、私は受け止めました。

万人いれば万通りの、色々な受け止め方があると思います。

でも、皆、それぞれの場所で、見れて良かった、聴けて良かった、来れて良かった、と、大きなものをこの脱出系亞種音という名が冠された1時間半の圧倒的な世界観から得たのではないでしょうか。

 

行けて良かった。

見れて良かった。

開催されて良かった。

 

尽力された関係者の皆様には、ただただ感謝の思いしかありません。

 

帰りすがらのグリーンステージ、鮮やかな光と静かな歓喜で埋め尽くす電気グルーヴの最後の2曲を思いっきり踊って、かなり限界を迎えていた足腰にとどめを刺して(←)、私のフジロックは幕を閉じました。

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ありがとう。

本当に本当に幸せな一日でした。

 

 

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平沢進 14thアルバム『BEACON』感想

2021年7月28日、待望の平沢進ソロ14thアルバム『BEACON』が発売されました!

初夏発売と某所で予告されて以来、すっかり長びいていた初夏をやっと抜け出しましたね!

 

この文章を読まれている方でBEACONを未聴の方はまずいらっしゃらないと思いますが、もし単語検索等から迷い込んでいらっしゃった方がおりましたら、とりあえず

 

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shop.teslakite.com

または

digital.susumuhirasawa.com

でアカウントを作成し、カートに入れ、レジに進んでから続きをお読みください(過激派)

 

 


 

ということで、待ちに待った新譜を拝聴した感想を簡潔に述べていきます。

 

新譜は覚悟していた以上に全体的にとてつもなくトリッキーで、不思議の国のアリス症候群のまっただ中のような、自分の現在地の次元の座標をも失する感覚に陥りました。

ソロ過去作はコンセプトアルバム的な構造も多く、映画一本を見たような充足感がありますが、今作は連ドラのDVD‐BOXを一気見したくらいの密度の濃さでした。

とにかく変化球の化け物のような構成で、あっちこっちから琴線を刺激されて、どうにもこうにも落ち着かないです。

前作『ホログラムを登る男』平沢進の集大成という印象の名盤でしたが、今作では平沢進をもって平沢進を制すというか…なんとなくリスナーの脳内に確立されていた「平沢進らしさ」をご本人が喜々として崩し、自由気ままに逸脱したという印象でした。

初めて聴いたとき、「え!?」と声に出して吃驚してしまう場面が何度あったか……。

まさしく「制限からの解放」を地で行かれている有言実行の権化たるお方だなぁと。

 

まるで音楽のウインチェスター邸に迷い込んだようです。 

 

奇抜な面白さという点では『点呼する惑星』系統のようにも思えないことはないですが、聖馬蹄形惑星の大詐欺師のようなド直球極まる風刺もAstro-Ho!帰還のようにこの世の構造をストレートに説明するような曲もなく(追記:訂正します。論理的同人の認知的別世界聖馬蹄形惑星の大詐欺師の正統なる直系ですね。大詐欺師が過去の経緯を綴って論理的同人がド直球に現在を描いていますね)、灯や日に照らされ花や火やキミが咲く、混沌としていながらもその視野は明るい、ご本人が仰っていたように回=回以降の希望への展望が描写されていることが、アルバムのそこかしこから伝わってきます。

はじめまして、平沢さんの新しい連結の抽斗たち。

 

ところで、CDの曲順でなく、作曲された順に聴くとあら不思議、作者が生み出した筋道がある程度トレースできるおかげか、音の世界観が整理されて全体的な流れの明度が高くなるような気がします。

作曲された順は、平沢さんのTwitterや月締メ・フォルマントでの曲解説などを参考にするとおそらくこうなるのではないかと思います(括弧内は開発コード)

 

1.消えるTOPIA(Ghost Venue)

2.燃える花の隊列(Unknown Garden)

3.Landing(Legato Landing)

4.TIMELINEの終わり(Code Rain)

5.転倒する男(Unknown Scale)

6.COLD SONG(Dewar Flask)

7.記憶のBEACON(BKK)

8.論理的同人の認知的別世界(M_08_GUI

9.幽霊列車(Ghost Train)

10.BEACON(BEACON)

11.ZCONITE(※開発コードなし)

 

個人的にはわりと座りが良いと感じる流れなのですが、やはり完成品の曲順でないと、次々と繰り出される、「そうですかそうきましたか」のアソートパックのような、ひたすらに展開の読めないびっくり箱体験はできなかっただろうなぁとも思います。

でも消えるTOPIAからBEACONへの旅もなかなか清涼感あるワンダーランドで良いですよ!

大団円後のZCONITEは、例えるならゴジラKing of the Monstersで伊福部昭のテーマをバックに閉じるエンドロールに感動しきった後に現れる、最後のおまけ映像のような不穏なポジション、みたいな。


……しょっぱなから反則的な味わい方を語ってしまいました。

 

平沢さんご自身も語られていた通り、起き抜けに降り注ぐフレーズやヴォーカルメロディから先に形成する手法を試みられただけあって、声という声がたっぷり張り巡らされており、バカコーラスもバックだけではなく前面に出て活躍されている場面が多くて嬉しいです。

ブックレットのノド(折り目)部分から何故か桜餅(あるいは杏仁豆腐)のような甘い香りがするのでついつい嗅いでしまうのですが、なんせお写真がたっぷり載っているもので、顔を近づけても大丈夫なポイントを考慮しないと大変です……。

鮮やかな沖縄の海と晴天の色に彩られ、時折ざりざりした暗い岩の表面が不穏げに仄見える、そんな中に颯爽と自撮り棒を手に聳え立つ、顔面完全防備の白髪の男(LOVE靴が嬉しいサービス)

頭部は宇宙服のごとき重装備、でもスニーカーというアンバランスさが良いです。

この要素たちを見事にまとめ上げた中井さんのデザインセンスは本当にすごいなぁ。

そしてとにかく佇まいが……うつくしい……美の神はここにおられるぞー!

 

それでは以下曲ごとに好き好き大好きポイントを述べていきます。

 

 

①BEACON
 
24曼荼羅1日目のアンコールで演奏され、親の声よりよく聴きまくった曲。
華やかに幕開けを飾る軽快にして濃厚なタイトルチューン。
思い出補正のせいでしょっぱなからレルレさんのドラムロスに襲われてしまいました。
(インストを除き)最後に生み出された曲とあって、このアルバムの総決算感が半端ないです。
それをドタマに持ってくるんだからスゴイ。さすがのっけから容赦ない。
トリッキーな展開をするメンツが多い中、比較的平沢進的正統派曲という感じがします。
ライブでの諸々の制限がなくなったら、思いっきり縦乗りしてサビでは「名もなき子」で合いの手を入れたいですねー。
「大声は闇を見せ 揶揄で滅びる愛」が色々と深く腑に落ちる世情です。
 
②論理的同人の認知的別世界
 
聖馬蹄形惑星の大詐欺師と双璧を成すパワータイトルですなぁ。
ドアタマで火事場のサリーを彷彿としました。 
もうこれはプログレですね。展開の起伏がとんでもなくて何が起こってるのかわからんですね。
煽るような奪取奪取大奪取のコーラスに、ファルセットと巻き舌が同時に堪能できてしまうボーナスポイント、挿入される語り(誰ですかこのお嬢沢さんメロウなメロディーと、リスナーの耳を翻弄しながらも喜ぶツボをきっちり押さえまくった遊園地のような曲です。どったんばったんのアトラクションだらけです。
ギターが終始愉快な動きをしていて楽しい。
最後の2小節間の8分のベースの刻みが、ちょっと中期P-MODELっぽさを感じて好きだなぁ。
月締メで先行公開されていた仮タイトルが、口にしたときの響き的にとても好きだったので、ちょこっと変更されちゃったのだけが残念。
 
③消えるTOPIA
 
ダイジェストを聴いた段階ではCOLD SONGがこのアルバムの白眉だと思っていたのに、とんでもねぇ伏兵がいたもんだぜ……!
一番真っ先に生まれ落ちた長男(長女)にして、いきなり要素詰め込みすぎの巨人と化してる。
ナーシサス次元から来た人が心の故郷であり(ちなみにこのブログのタイトルはナーシサス次元から来た人のGoogleスペイン語訳です)、OPUS亜呼吸ユリアで育てられた私の情緒をメッタ刺しにしてくる曲。
歌詞的に実質ENOLA2。これはもう続ENOLAです。帰ってきたENOLAです。
そしてマインドフルネス等での基本概念「今ここ」をふと意識する「たった今」ゾーンがとんでもなく癖になります。
「今はたった今」「犬はたった今」に聞こえてしまって、「え?わんこが洗われ降っちゃう?」とうっかり心躍ってしまうことをここに懺悔致します。
特にサビあたりのリズムに核P-MODEL的なエレクトロニカというか、個人的にはminus(-)でゲストに出演された時の会場の空気感や照明の演出を想起させられます。
ちょっとだけEDMを孕んだプログレですね。
作詞者も収録アルバムも同じなので当たり前っちゃー当たり前かもですが、記憶のBEACONと世界観が近接に繋がっているように感じられるのですよね……。
歌詞中に「消える」「TOPIA」も登場しないので、色々と想いの馳せ甲斐があります。
現状一番好きな曲です(例によって一番は日替わりで変わってしまうものなのだ)
 
④転倒する男
 
プログレですね(もうただプログレって言いたいだけやろモードに突入している)
「鉄塔からジュラ紀の花降る宵の星」……もうね、こんな情景綴れるのは世界広しといえど平沢進ただひとりしかおらんですよ……って描写力にひれ伏した途端に
「わっはー」
って突然IQ2の語彙を繰り出してくるのはもうほんと卑怯なんですよ。
冒頭からぷいぷい言ってる電子音がかわいらしいです。
twhzしながら弾いてたギターフレーズってイントロのところなんだろうか。Aメロ裏のギュゥゥンのあたりなんだろうか。
一応オマエタチはリアルタイムで出産に立ち会ったことになるのですね(笑)
完全に私事なのですが、昔飼っていた猫の名前が「みお」だったもので、「見よ」が再生環境によっては「みお」に聞こえて、天上から降り注ぐラッパ、もといフレンチホルンの二重奏の聖なる雰囲気と相まって涙腺が緩んでしまいます。隣接次元で元気にしてるかなぁ。
 
⑤燃える花の隊列
 
冒頭がなんだかとってもススム・インティライミ
あっ実際のご本人やその音楽になぞらえたわけではなく、イメージの中にある象徴としてのインティライミ感です。すみません。完全なるただのイメージなのにそう感じてしまって大変申し訳ないのですが、誰だこのインティライミ、というのが第一印象でした。いやだって想像してみてくださいよ、あの唯一無二の歌声と死せる名の暗きに火を咲いて歌う歌詞と平沢節1000%のディストーションギターの部分を抜いたらかなりインティライミな空気感じゃないですか。え?そうでもない?
絶対平沢さんの世界観では登場しなさそうと思い込んでいたピースでアースでフォレストな音だったので、ものすごくびっくりしました。平沢さんの楽曲史上最も夏フェスっぽくないですか?え?そうでもない?
フジロックの木道亭のような空間で、ハンドクラップしながら楽しみたい。
椅子に座ってモズライトを弾き語りをする平沢さんで見てみたいです。ヘッドセットでなく、ブームタイプのマイクスタンドで。
(勝手にイメージしていた)「平沢さんらしくなさ」が随所に散りばめられているのに、同時に見事な「平沢さんらしさ」でまとめ上げられている不思議なバランスの曲だと思いました。
やはりライブでは生ドラムで味わいたい曲だなぁ。
どの部分がサビなのかいまいちよくわかりません。すべてのフレーズが主役ですね。
アンチ・ビストロンのラストなんかもそうですが、異なる歌メロが重なる演出が大好物です。
ノイズ処理のためか、あるいはサブリミナルの呪いか、私の難聴耳には「ウェルカム ウェルカム」「ベーコン ベーコン」に聞こえてしまっ……。
色々好き勝手言っておりますが、この文字量でお察しいただける通り、語り出したら止まらなくなるくらい大好きな曲であります。
「発火する花が咲く圧巻の夜」それはどれほど見事な大花輪だったのだろう。
「キミのあるべくあるそれ」の言葉でまっすぐに肯定してくれる平沢さんが好きです。
 
⑥LANDING
 
プログレですね(まだ言ってる)
バックでウィスパーしてる「アッアッアッ…アアー」は、ヘッドホンで聴くと絶命必至です。
サビの、ノスタルジーを刺激される、合唱コンクールの課題曲に登場していてもおかしくない切ないメロディに絡まるグロッケン(※追記:こちらグロッケンではなくシロフォンの音であるとご指摘をいただきました)が愛くるしいです。
愛くるしタイムの前に野焼きの白煙のように立ち昇るのようなファルセットが、アクセントであると同時に次曲への助走になっていてなかなかニクいなぁと。
燃える花の隊列Landingは作曲順でも同じ流れなので、なんとなく勝手にコンビ感を感じています。作曲順だとこの後がTIMELINEの終わりなので、空の色が変わりゆく夕方に駆け出した丘の先に、見たこともない絢爛の祭列が広がっているような心象風景が浮かびます。
 
⑦COLD SONG
 
もうこれダイジェストの時点でダダ泣きですよ。
なんなら関係者各位感想発表時に湯本さんから大ヒントが投下された段階でもう泣いていましたよ。
ファルセット100%生搾りストレートというだけで地に伏して泣いているわけですが、ギターが突入してくるところで天に向かって思わず祈りを捧げてしまいます。
この曲を歌う平沢さんが聴けたというだけで今生を生きてきた甲斐があったってものです。
未研磨の電子の水晶がハープのアルペジオで乱反射するイメージと、YouTubeで公開されている中井さんの映像が見事に一致して、既に泣いているのに泣きそうになってしまいます。
バカコーラスではなくVoices of the Apocalypseの音源を使用されているということで、大人数だからこその孤独を歌い上げる悲愴な響きがより際立っているように感じました。
凍える氷牢光学現実と簡易的に認識しております。
目覚めて牢の外に踏み出したそのひとを待つのが、ウェルカムと迎えてくれる燃える花の隊列だったら良いなぁと空想してしまいます。 
 
⑧幽霊列車
 
イントロのぶらりお座敷列車旅情の雰囲気にすんごいびっくりしました。
平沢さんは、たとえ歌詞に頼らずとも音で見事に情景を描くなぁと感服します。
暗澹たるストーリーに葬られた残骸、亡き者たちを乗せる列車、ということでこれは実質ハルディン・ホテル2ですね。
 「行く列車の塵は砂丘に文字を描く “百年彼方の空より見守る”と」でも想起されますが、平沢さんの描く列車はよく空を走っているなぁという印象です。「空(カラ)列車」「から」「そら」をかけているのでしょうし(あ、でも列車ではあくまで線路を行きますね)
といったところで「空ピーカン」とまたナチュラルにIQ2ワードをぶっ込んでくるから油断ならない(※追記:ピーカンは俗語だと思い込んでおりましたが、元は映画業界用語であるとご指摘をいただきました/語源は諸説あるようです)
ハルディン・ホテルではキミをさがして駆けていますが、幽霊列車でも隠れたキミを追っているんだなぁ。
なんとなくレトロな曲調が、セピアの過去から走り続けている幽霊列車の歴史を物語っているようです。
 
⑨TIMELINEの終わり
 
 24曼荼羅2日目、万感のフィナーレを飾った曲。
ライブの情景が眦に蘇り、聴き終えた時の感無量感がとてつもない。
このアルバムの中で最も壮大で、祝祭のような雰囲気を纏う曲。
なのにこの曲で大団円を迎えさせてくれないのがなんとも小憎たらしい(笑)
トリッキーさが控えめの比較的ストレートな構成なので、素直に穏やかにオリエントな慕情に身を委ねていたいのですが、4小節のギターソロを弾くご本人が「近づいてきたかと思うと、クルッと踵を返して去ってゆく女王様タイプのソロ」と説明してしまったがために、二重展望に次ぐ王平沢ソングになってしまった。
Bパート(恐れた塔の~)の平沢さんのウィスパー寄りの声を後ろから支えるストリングスが妙に切なくて好きです。
オーロラに続く、お誕生日に聴きたい曲シリーズです。
そういえば、雨が降ってるのはBEACON幽霊列車TIMELINEの終わりの3曲ですね。
降水確率約30%か……。
 
⑩ZCONITE
 
想像力が貧相なので、地下迷宮の神殿で黒魔術発動中……という短絡なイメージが真っ先に湧いてしまいます。
ZCONITEという言葉の意味は会然TREK2K20▲03のメモリアルパッケージカードのムービーの中で詳しく語られているので、ああ、あのメラメラしてる方々の内に響く音はこんな不穏な感じなのかなぁと思いを馳せておりますが、見れてない人はtwhzでZCONITE及びZCONについてさっくり語られた回のみの情報しか公開されていないので、早くダウンロードコンテンツとして再販されることを願ってやみません。
雰囲気がブラックメタルのアルバムの導入部のインスト感があるので、ちょっとブラストビートでこの先を展開してほしくなります。
ゲンロンカフェで斎藤先生とのトークに出ていた、「平沢さんの音楽には陽を浴びた藁だけでなく、それを持ち上げた下に蠢いている気持ち悪い虫もきちんと描かれている」といった趣旨の話を思い出します。他の10曲が藁、この曲は虫にあたるわけですが、だからこそ平沢さんの音楽はけっして綺麗事を綴るだけでは終わらないという安心感があります。
 
⑪記憶のBEACON
 
作曲順で聴くとCOLD SONGの直後に冒頭の言葉が来るので、色々と反則です。
「もう大丈夫ですよ」は平沢さんに言ってほしい言葉脳内ランキングTOP3には常に必ず鎮座しているフレーズです。誰に言われるよりも絶大な安堵感があります……。
Aメロからオクターブハモリ、Bメロではシングルヴォーカルに3度のハモリが重なってきて私を連続で悶絶に誘います。『SWITCHED-ON LOTUS』版のMermaid Songのサビのように、オクターブでハモってくるのはどちゃくそツボなのであります……。
ドライブBGMとしても最高の疾走感。横の歩道でランニングしてる人がいるとなお完璧にマッチする情景の完成です。
千年女優の千代子さんのように、ひたむきに走って走って走り続けた先にぱっと視界が拓けるイメージ。思えばこのアルバムは1曲目の初っ端から「疾風と化せ」とフルスロットでしたね。
前途へ促してくれる花道のような力強い18人のバカコーラス隊がかっこいいです。
なんとなくミュージカルっぽい雰囲気もありますよね。
分類コード「箸休め」に分類されるとご本人に定義されておりますが…休めるかぁ!!!!
 
 

 
歌詞に頻出する「目覚め」やその類型の言葉は、スピリチュアル方面としてもコンピスラシー方面としても何気ない日常風景としても、どうとでも幅広く解釈可能になってしまう単語ですが、視点を変えてみる、思い込みから脱却してみる、という日々の小さな場面の中でも「目覚め」の瞬間って溢れていると思います。
やはり本作で、個人的にひしひしと胸の内に染み込んでくるテーマはまさに「制限からの解放」
命がけで崖を登っていたアヴァターが、本当は地べたを這っていただけだったように。
「平沢さんらしい/らしくない」という思い込みに捕らわれて、某所では検証を怠りまんまと釣られ情けない醜態を晒してしまったように(今でも胃がキリキリする屈辱の思い出)
勝手に苦手意識を抱いて避けていた人が、話してみたら実はめちゃくちゃ波長が合う人だったり。
まずいと長年思い込んでいた食べ物が、実はとってもおいしかったり。
日常の中のほんの些細なことでさえ、全ての物事が天と地がさかさまになる視野の転換や小さなアイディンティティクライシスの積み重ねたりえると、私は認識しています。
 
平沢さんの音楽は(Twitterも)、ある波長が共鳴する万人に普遍の作品として抽象化され広義化されているがために、己の固定化した思考を如実に映し出す鏡だなと常々感じています。
新譜を通じて私の内面から思いきり顕著に引きずり出され、例えば音楽の展開に対して、また平沢さんに対して、あるいは己に対して勝手に無意識に定めてしまっていた、「まぁさすがにこの範疇からは逸脱することはないだろう」と舐めプのムーブをかましていた幻影の枷をまざまざと眼前に突き付けられ、思い込みがどんどん覆りまくりました。
痛快でした。
あ、思考のデトックスってこういうことなのかも、と。
 
人は己の経験または知識の範囲内でしか物事を解釈できません。
知らないことは発想できない。
知り得ないことに対して正しい判断は下せない。
世界の歪みと認知の歪みを区別できない、だから常に正気を焚いて行かなければならない。自覚する正気すら完全には信用せず、常に己に問いかけ続けるべきなのだろう。
 
平沢さんが戦う対象は遥か以前から一貫して全く変わっていないけれど。
呪詛は払われ彼岸に消え去り、「もう大丈夫ですよ」と告げてくれる。
過剰に不安がらなくて良いんだよと、あの手この手で伝えようとしてくれているようで嬉しいです。
(※あくまで私が作品からそう受け止めたということであり、作者の意図を勝手に想像して代弁する主旨では全くありません)
 
BEACONはあまりにも平沢さんらしくないがゆえにとても平沢さんらしい、歩く意外性たる平沢さんそのものであるアルバム、という感想です。
今の平沢さんそのものを、好きなだけ聴くことができて本当に幸せだなぁと。
製作着手から1年以上を経て、この音を無事にオマエタチの元に届けてくれたことに、心から感謝です。
本当にありがとうございます。
 
 
早くライブで全身に浴びたいですね!
 
 
聴けば聴くほど語りたいことが無限に湧いて出てきてしまうし、上述した感想も時間が経てば、あらやだ全然的外れだったわ恥ずかしい!と顔から火を吹くのは目に見えておりますが、キリがないのでひとまずここで切り上げることにします。 
なんとも拙い簡潔な感想でしたが、ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
 
 
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2021.07.22 ようこそBEACON with モルカー
 
 

麺屋KENJU様 ヴィーガンラーメン感想

 

ピン熊。

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チリトマトヴィーガンラーメン

麺屋KENJU様1番人気商品にしてステルスいち推し。

ほんのりピリ辛だけどお子様でも大丈夫。

味変でパルメザンチーズ振りかけたら激ウマ。

タバスコも合う気がする。

パスタに近いようでやはり違う独自の存在。

ミネストローネよりもとろっとクリーミー

おいしい。

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ヴィーガンラーメン

塩というイメージとは裏腹にかなりこってり系。

鶏白湯ラーメン鶏なし、みたいな感じ。

味が濃い目のため唯一スープが飲み干せなかった。

なので麺完食後のご飯との相性は最高かも。

一番ビールが恋しくなるお味。

おいしい。

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醤油ヴィーガンラーメン

一番正道にして王道たるラーメンの風格。

とても優しいお味ながら、醤油の香ばしさが深い。

パンチが欲しい時は粗挽き黒胡椒推奨。

さらにごま油ちょい足しでストロングになる。

でも結局当初の優しい素の味に戻りたくなる。

一番飽きの来ないお味だと思う。

おいしい。

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靴下

おいしい。

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……というわけで最近Twitterで流行ってるハーレム系ナンタラのテンプレ風にご紹介させていただきました。

麺屋KENJU様より通販させていただきましたラーメン三種の感想でした。

あまり美味しそうに撮るのが上手くなくてすみません…

 

それぞれまずはトッピング一切なしで食してみましたが、やはりベビーリーフや味玉などが相性抜群かなぁと感じます。

パウチ内に初期装備されているオクラや花豆がとてもスープと合っていて、それだけでも満足度はかなり高いです。

オクラめちゃおいしいです。麺の食感を一切妨げない食感です。追いオクラしても良いかもです。

あえてチャーシューや背脂等をぶっ込んでみても美味しくないはずはないと思います。

 

麺は中太で、縮れていないストレート麺ながらよくスープに絡みます。

もちもちしていて、かなり腹もちも良いです。

 

どのお味もとにかく、優しい。

野菜だし、という響きからあっさり系のイメージが浮かびやすいですが、どっこいチリトマトと塩はかなりどろっとこってりしてます。

麺カタでも合うかもです。

比較すれば醤油が一番さっぱりめですが、三者三様お味の個性の主張はかなり強いです。

 

例えるなら

 

チリトマト…小西健司

塩…平沢進

醤油…福間創

 

という感じです(個人の印象です)

 

 

濃厚なのに、不思議と舌も胃も全く疲れないです。

三日三晩どれだけ丁寧に煮込まれたのかが伝わってくるようです。

 

 

丁寧と言えば、梱包もとっても丁寧で…

 

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養生テープのシワのない真っ直ぐな貼り方や、乱れのない袋の重ね方、緩衝剤(新聞紙)の入れ方に、お一人で全行程こなしておられる店主様の丁寧で誠実なお人柄が滲み出ていて、開封した瞬間からもう感動していました。

 

GAZIOとのコラボである調理手順表も、PP袋に入っているので、キッチンに無造作に置いて調理しても湯気や跳ね汁でふにゃふにゃにならない親切仕様です。

本当に細かいところまで心尽くしが凄い。

各ラーメンのトッピングのオススメも記載されていますので是非ご参考に!

 

これ、あらかじめ知らないとGAZIO監修とはきっと分からなかったかもです…が、GAZIO(旧店舗)のホームページをご覧になっていたり、Gazioちゃんカレンダーなどをお買い上げされている方などにはまさしくYOU1さんのデザイン、YOU1さんのカラーリングだ!と嬉しくなる絶妙なバランスの一般向けデザインと思います。

どんなデザインかは是非お手元に届いた実物で確認してみてくださいね。

 

今後GAZIO色が濃くなる予定とも予告されてましたし、とても楽しみですね。

 

 

創作系ラーメンでありながら珍しく家人(マルちゃん製麺&日清カップラ至上主義ゆえに変わり種をあまり受け付けない)からの評判も上々で、ストックを買っておいてくれないかと頼まれて吃驚しました。

通販の申し込み瞬殺ラッシュが落ち着いてきた頃合いでまたおかわり注文させていただきます。

 

 

個人的な一番のオススメはやっぱりチリトマトラーメンですね!

チリトマトチリトマト醤油チリトマトチリトマト醤油塩ビール枝豆塩ビール枝豆ってサイクルがベストかなって感じです(何の話)

 

三種類購入、さぁどれから行こう…という方には、醤油→塩→チリトマトの順をお勧めしたいです。

これは太陽系亞種音で無難にDisc1から順々に聴いていくのと同じ理由です。

もちろん逆走しても楽しいと思います。

いつか、がっつりコラボな太陽系亞ラーメン等の限定メニューなども登場したら面白いですね(何の話)

 

 

本当に美味しかったです。

ご馳走様でした!

 

 

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会然TREK2K20▲03@Zepp Tokyo 2日目

 

 

 

ホワイトデーですね!(物理)

雨を呼びゲリラ豪雨を呼び台風をも呼ぶ男平沢進ついに雪まで

東京では桜の開花予想日だったというのにね…

 

かじかむ手にコーチジャケットのポッケのヌクモリティがありがたく沁みます…こんな状況を見越してポッケの中をモフモフ仕様にしてくれたのでしょうか…さすがケイオスさん…優しい…

 

待機列で呼び出しを待っている頃には雪は霙に変わっていました。寒いです。

 

 

会然TREK2K20▲03

 

2020年3月14日

Zepp Tokyo

 

OPEN 17:00

START 18:00

 

初日は下手側4列目くらい、この日は少し流れに身を任せたら下手側3列目に行けました。

 

この日松村様は▼02の赤いTシャツをお召しでした。

やったああああ私も今同じTシャツよおおお松村様とペアルックううううう(興奮)

ちなみに昨日はゆーさんとおそろいだったのおおお(STDRUMSのLOTUS ROOT Tシャツ)

ほんとケイオス専属のイケメン販促モデルですね(なお大阪限定品のため購入不能)

 

本日はなんと会人さんのギターもEVOです。EVO3台体制。

平沢さんは安定の抹茶、93317543さんことSSHOさんは抹茶(昨日平沢さんの後ろに鎮座していたサブ機?)、66594428さんことTAZZさんはあずき…と私は思い込んでいたんですが、実はギターではなく新製品のEVOベースだったそうです。

楽器で三つ子コーデとかどんだけ仲良しなんですか…!

 

 

【曲順】

 

1.おやすみDOG

2.遮眼大師

3.上空初期値

4.巡航プシクラオン

5.MOTHER

6.帆船108

7.Parallel Kozak

8.Switched-On Lotus

9.Leak

10.橋大工

11.HUMAN-LE

12.コヨーテ(第6フォルマントVer.)

13.白く巨大で

14.LOOPING OPPOSITION

15.SPEED TUBE

16.Phonon Belt

-Encore-

17.幽霊飛行機

18.Ruktun or Die

19.PLANET-HOME

 

 

平沢さんが壇上に登った曲は初日と一緒でした。

ウサちゃんがコヨーテに食われてしまい、幽霊になって追加されました(クソまとめ)

 

会人さん達は下手から、レルレさんは上手から、そしてボスは本日は上手から登場し、そのままお立ち台横の階段を登り高い位置に颯爽と出現!

すぐさまレーザーハープ後ろの定位置につき、開幕おやすみDOGです。

背後のモニターでは、黒地の中央を鋭いの細線が貫いていて、「惜しい、だったら横になったボンドルド卿なのに」とかぼんやり考えていました。

私は失念していましたが、初日のこの線は緑色だったのですね。

ワォーンの後にお立ち台の平沢さんと会人さんが息を合わせてしゃがみ込んだ姿が本当にスタイリッシュで、そのまま何かの雑誌の表紙とか飾れそう。

 

アッパーなナンバーが続いて遮眼大師。おやすみDOGの時点で少し声が出づらそうな印象でしたが、1発目のマントラがちょい出だし不発気味、しかし2回目でヒラサワ怒りの喉声マントラ炸裂。

デストロイ時には腰を落とし、まるで地を掘る、または突き刺す勢いでギターネックを下方へ向ける珍しい動き。加えてサビのマントラで機関銃のようにギターを横に構えて左から右へ客席を掃討。

下への一点攻撃からの平面攻撃、シン・ゴジラかい、と仰ってた方がおりましたが、まさしく観客総辞職ビームでした。

間違…ゲフン出血大サービスの追いマントラ、私はこの日マントラで撃たれた本望の花(死)状態だったのでなにがなんだか為されるがまま…でマントラが増えていたことすらそういえば…な放心っぷりでした。平沢さんは作者でエライから、現場で変えるよマントラの回数だって。

画面はモノクロの凶々しくガサついたアンチバーコードの絵面で、ちょいホラー感入ってました。貞子の呪いのビデオに一瞬混ぜ込んでも違和感なさそう。

 

上空初期値、サビ直前の「(てーっててーっててーっててーっててーっててーっててーてれれー♪)「見ぃぃぃぃぃぃよぉぉぉぉぉしーろーきぃーしやーをーのぉぉーぼりぃぃー」の部分で、ギターを背負ったSSHOさんが両手を左右にルンルン振って踊っていて、めちゃくちゃ愛らしかったです。こんなダンシングフラワー欲しい。

 

続いて巡航プシクラオン。この曲の後半あたりから発声が喉から腹にきっちり移行して安定したように思いました。

フジロック夢みる機械で観客を操っていた時の紫の照明に赤を織り混ぜたような、幻想的で美しい照明でした…

 

昨日と同じく5曲目にMOTHER。昨日はこの曲が来たというだけで号泣してしまい細かいところを見れていなかったので、今日はとても冷静に、勇壮な行進曲リズムを叩くレルレさんに注目できます。マーチが…マーチが聴こえる…!レルレさんからMOTHERの…!胸に憩いと祈りをTAZZ冴えて…!(号泣)

会人さんがサイレントチェロとバイオリンを力強く奏で、平沢さんの声は深く強くとても絶好調です…おおマザー…あああ…(号泣)

 

帆船108。お立ち台の後ろにミラーボールが床置きされているのが見え、大輪の花のように舞台にあまねく咲いた白い光はミラーボールさんのお仕事だったと理解。

2番以降だったの思うのですが、平沢さんが手ぶら状態でレーザーハープの横に立ち…両手をまっすぐ太ももの上に置かれた姿勢のまま歌われて、育ちの良いおぼっちゃまかな?と思いました。眉毛がハの字なので不安そうな表情に見えてしまって…さっきまであれほど圧倒的存在感だったのに、いきなり庇護欲煽ってくるのは…卑怯也…

昨日は巻き舌の後の低音部が歌いづらそうで、両耳を押さえ肘をキュッと締めてかわい子ちゃんポーズになっておられましたが、本日は歌いやすそうに反り気味に胸を張って威風堂々とされておりました。

レルレさんのドラムのおかずがめたくそ格好良かった。

 

お立ち台に颯爽と登ってParallel Kozak。全体的にそうなんですが、舞台装置の転換がない分、大阪の時のような長めのブリッジがなくて、演者が急いで移動します。

平沢さん、何故かお立ち台に直立したまま、床に白いピックをぽいっと投げ捨て…え?何の躊躇もなく足元にぽろんとピックを落としました。

 

漢の手弾きタイムだああああああああ!

 

最後に弦楽器隊3人がスチャッと膝立ちにしゃがむ際、平沢さんとSSHOさんは曲げた膝が綺麗に90度になっていたのですが、TAZZさんは105度くらいだったのが印象的でした。たぶん太ももあたりでズボンがムチッとパツッと…わかりますわかります…布地に余裕がなくて深く曲げきれないあの状態…

平沢さんが会人さんの方を向くように、正面向きでなくわずかに斜めに身体を向けているのが、こう、とても、実に良いです。

 

ラージバッグにも描かれている四角形デザインのロータスが左右対象でメトロノームのように横軸に行ったり来たりする映像が流れ、昨日見逃した「いつもより多く衝突しておりまーす」連続衝撃波映像もやっと見れました。こんなに念入りに玉突き事故してたのか…

お陰であやうくEVOを床置きする瞬間を見逃しかけましたが、松村様のGodinと椅子と足台の設置作業が昨日より2倍速で手際が良くて驚嘆しました。

 

昨日と同様にお立ち台に座り、左足を台に乗せたデューンスタイルで奏でられるSwitched-On Lotus

くるくる回っていたシャワーのような白い照明が平沢さんにびしっと一点集中する瞬間は、誇張なく宗教画のような荘厳さで、ステージ上は完全に神殿の様相でした。

今日は曲によって、特に高音域以降の際など時折上擦ったりする場面が散見されましたが、この曲は完璧に声と演奏が融合していました。荘厳系の曲は総じて声が安定していましたね。

 

Godinを床置きし、畏れ多くも松村様に手渡さず拾わせるという暴挙。右手にGodinを、左手に大小の台を一気に回収した松村様と、床置きEVOを構え直した平沢さんが、同時にその場をシュバッと対極の方向に立ち去る動きは完全に忍びの者でした。

 

レーザーハープ前に帰ってきてのLeak。昨日はサビ部はグーパン奏法&客席あちこち見渡しタイムでしたが、今日は手刀でじっとレーザーを遮り、目線も概ね手元周りに固定でした。

イントロのレーザーハープ捌き、一歩間違えば阿波踊りになりかねないのですが、紙一重でめちゃくちゃカッコいいのがズルイです。

 

涙腺決壊タイムはまだまだ続いて橋大工

始まる前の暗転時にクイッとお水を煽り、お水台に置かれていたハンカチでサッとお上品に口元を拭ったのをこの目で見ました(卒倒)

Aメロの声がとんでもなく女性的な艶やかさでドキッとします…Bメロからは男性力が強まるんですが…完全に両性の声を演じ分けたような、歌声版らんま1/2でした。何より脳を包み込むような声の深みたるや…

魔人探偵脳噛ネウロという漫画に、観客の脳を歌声で文字通り揺さぶって次々と失神させる能力を持つ世界的歌姫が登場するのですが、紛れもなく平沢さんは3次元版アヤ・エイジアですよ…(失神)

 

なかなか陶酔の世界から帰してくれない、HUMAN-LEです。

SSHOさんの。リズムに合わせて頭を左右に振る横揺れが一段とアクティブ可愛かった気がします。

「枷を打ち」のCメロ部で、客席の機能制限版HUMAN-LE達に降り注ぐ、天使の梯子のような慈愛の白い照明。

(時々忘れそうになるので自分用メモ:LEはLimited Editionの略)

 

まるでセラピーのような時間が過ぎ…こ、この軽快なイントロリフと遠吠えは…

 

コヨーテええええええええええええ!!??!?!?!!!???

 

寝た犬が起きてコヨーテに2歩と半分進化したの!?(錯乱)

しかも「日照りの仕組みも分かる頃」の第6フォルマント版(冒頭の朗読はなし)です。

3番のクリスマス感も健在です。

台詞部分の最初はがっつりカンペを読んでいた姿も目撃しましたが、

 

(わかってるな?オマエタチちゃんとわかっているな?と少し前屈みになり確認するようにほんのり口角を上げつつ上目遣いの視線で客席を眺め回しながら)「もっとかしこく、逃げていただく」

 

\は゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛!!!!!!!!!!!!!!!!/

(良い子のおへんじ)(轟音)

 

この瞬間観客全員IQ2の保育園児になってましたよね。

お返事パートなしですぐさまサビに突入する第6フォルマント版の原曲より、客の返事用におそらく4拍分長く間を開けてくれたの、本当に平沢さん…ねぇ…もお…元気な返事すぎて演者に飛沫飛んだらどうするんですか…客が皆ちゃんとマスク着用してくるって信頼しきってるでしょ…(号泣)

 

『日照り』で餓え、世界の合意にそぐわなかったばかりに追われ八つ裂きにされてしまうコヨーテ。この時期にあえてこの曲をねじ込んでくる平沢さん、完全に確信犯じゃないですか…(号泣)

 

そうですね、なんとしてももっとかしこく、逃げ切ってやりましょうね。

 

クールダウンのように白く巨大で。でも会人さんたちは全然クールダウンしません。完全に2人の世界のイチャイチャタイムです。お互いに何か語りかけるように顔を向けては交互にちちくり合っています(パッドを)

 

LOOPING OPPOSITIONで再び熱狂タイムへ。

原曲では若き反逆児のカリスマってイメージ(個人の見解)ですが、目の前に屹立する壇上の御仁はもはや魔王の貫禄です。

昨日よりも一文字一文字はっきりくっきり放たれる

 

「悪 の メ ソ ッ ド !!!!!!!」

 

のシャウトと同時に背後からカッと照射される白き閃光を背負う魔王、ハイ今支配されたよ!今大魔王に全世界が掌握されたよ!!!!

 

なんで原曲の30代ボイスより今の方がパワーもりもりなんでしょう。当時の平沢さん100人が束になってかかったとしても、今の魔王様なら指先ひとつでダウンさせられますよたぶん。 

ギターネックを右手で掴んで剣のように直角に構えておられたので、なんだか出陣の儀のようにも見えましたね。戦が始まる。

そんな魔王様ですが、サビ以外は右足でずっとリズムとってたのはほっこりポイントでした。

 

ところで両日お立ち台でのデストロイ時とか激しく動く際、時折下をチラッと確認する所作に高所恐怖症の片鱗を感じました。本当に僅か~に及び腰になるモーションがあって…

高いところ苦手なはずなのに、お客さんに見えやすいように頑張ってくださって感謝の極みです。

 

立て続けにSPEED TUBE。さすが魔王様、全く客に休む隙を与えてくれません。

ハァイスピッ↑チュゥゥゥの音が跳ね上がるところで小首を傾げる仕草は昔から変わりませんね。

最後の超ロングトーンに至る際のレルレさんのドコドコ追い上げが凄まじかった。

逆再生の部分、直立不動な平沢さんがまっすぐ顔を上げて上方真正面を見つめていたのが印象的でした。

たしかこの曲の画面は平沢さんのお顔パーツ堪能タイムだったと思うんですが、最初からずーーーーーーーーっと左側にぴょろんと一本突出してまっすぐぶら下がっていたぴょろ毛が、途中から毛先に向かってくねくねっとなっていたことが確認できてしんどかったです。

セーラームーンCrystalにおける、うさぎちゃんの耳元の後れ毛のぴょろりん感に近かったです。

私この日は冒頭からずっとぴょろ毛が気になりまくりで…あとヘッドセットマイクの、後頭部の支え部直下のうなじの、特に左側に勢いがついていた後れ毛の跳ねっぷりも。

 

あと何故かご開帳度がUPしていたトゥルットゥルの首筋………な………(吐血)

 

Phonon BeltのAメロで、PCを覗き込みながらじっくり歌い込んでいて、あやうくディレイラマを鳴らし忘れそうになり「あぶねっ!!」とばかりに超俊敏にレーザーハープを下から上へシュバッ!と弾いておられました。ギリセーフ!

ああ、本編が終わってしまう…と寂しい気持ちがじんわり込み上げます。

 

「ありがとう」と軽く頭を下げて会人さんと共に下手側に退場。

 

アンコール待ちは昨日よりやや長かった印象…裏側をぐるっと回ったのか上手から登場し、お立ち台の横階段から登っての登場です。

壇上から客席を一瞥し、レーザーハープの前へ。

 

「さっき気づいたんですが、大阪とは一曲もかぶってないんですね。道理で忙しいわけです」

 

「メンバー紹介をしましょう、演者の皆さんどうぞこちらにお登りください。サポートドラマー、ユージ…カワグt……ユージ・レルレ・カワグチ!」

 

やっぱり2日連続でレルレさんのミドルネームが言えない平沢さん。

覆面姿のレルレさんは両手でピースしながら勢い良く階段を駆け登り、雄々しく拳を握り真っ直ぐ上に掲げた右手の手首を左手で掴むポーズを決め、私は大爆笑でした。

まさかヘヴィメタル嫌いを公言する平沢さんのライブでマノウォーサインをお目にかかる日が来ようとはwwwwwwwwwwwww

 

※マノウォーサイン参考画像

f:id:tomozou_69:20200317112143j:image

(画像はこちらのコミュサイトより)

https://forums.stevehoffman.tv/threads/is-manowar-a-serious-band.336564/

 

 

フリーダムなレルレさんを「…満足ですか?」と呆れ気味で見つめる平沢さんに、ドーゾドーゾ!マイクお返ししまーす!という感じに肘を直角に曲げたジェスチャーを返しながら正面階段を降りてくるレルレさん。

 

「こういう奴です」

 

と添える平沢さんは、完全にわんぱく息子に手を焼くお父さんモードになってました。

 

「それでは会人の、(ここでカンペガン見)933…1…7543と書いて、SSHO!」

 

あっ昨日は噛まずにちゃんと言えたのに…w

 

EVOをひっ提げてSSHOさんも壇上に。

見せびらかすようにギターの正面をバッチリアピールして決めポーズ。

 

(この後「新製品の…」とうにゃうにゃ呟かれていたんですがよく聞き取れず)

 

「えー、そして(カンペガン見)6659…4428と書いて、TAZZ!」

 

やっぱり噛む!でも大阪の時もそうでしたが、TAZZさんの方がSSHOさんより比較的にスムーズに言えますね…!何故…!

手ぶらで壇上に登場したTAZZさん、礼儀正しく深々とお辞儀。

 

「新製品です」

 

と平沢さんが続けられて、ちょい細かく聞き取れなくて「新製品?バーコード会人さんのこと?」とか現地では頓珍漢な理解をしていましたが、EVOベースのことだったんですね。

共演者と新製品の紹介のみを済ませてアンコール突入です。

 

アンコール1曲目は幽霊飛行機!ここでまさかの新顔

MC明けゆえにちょっと声が出づらそうな平沢さん。でも後半調子が戻る。

回=回の時のようにギター・ベース隊がリフで膝立ちでしゃがむも、同方向ではなく会人さん2人はやや中央向きに、平沢さんは会人さんの方を向いてサッと座ります。仲良しかよー!

 

2曲目はRuktun or Die。踊れや歌えでもはや自粛とは何だったのか。

TAZZさんが台から下りてステージ前方でノリノリになっています。完全に東京異次弦空洞のRangさんが憑依してました

会人さんのEVO達は、固定電話の受話器のコードのような白いくるくるしたシールドで有線で繋いでいるのですが、定位置に戻る際や戻った後にちょっと足元に引っ掛けたか踏んだかして、少しよろめきかけたTAZZさんを、お立ち台の上から平沢さんがちょっと心配そうなお母さんの眼差しで見守っておられました。

この日は昨日に比べてわりと頻繁に、平沢さんはお立ち台の上から会人さんを見つめる場面が多かったと思います。動きのタイミングを合わせようとされていたり、あるいは普通に会人さんたちのコミカルな動きを楽しまれてるなコレ、って感じがしたり。

 

何の曲の時か失念しましたが、TAZZさんが何故か銃撃するようにEVOのネックの先を平沢さんに向けていたり、突然電源OFFしたペッパーくんみたいに動作停止していたり、カメラをじーっと見ていたり、面白いアクション満載でした。

 

曲後半のサビで平沢さんは何故か突然前のめりになり、ルクトゥンオアダイ!!と大合唱が響く客席を、一緒に歌いつつじーーーーーーーーっと、ぐるーーーーーーーーっと見回し始めます。さながら薙ぎ払え!してる巨神兵状態です。薙ぎ払われました。

 

床が揺れるほど跳ねて最高潮のまま大団円……では終わらせない、まさかのアンコール3曲目PLANET-HOME

「さぁ、お気をつけて、帰りなさい」と優しく促されているようで…やだー!帰らないー!Zeppさんちの子になるー!(駄々っ子)

 

全てを終えて「ありがとう」と踵を返す平沢さん。

私の記憶違いでなければ…

 

「ありがとう」クルッ

 

ではなく

 

「ありがとう」(正面を向いたまま2歩ほど下がってから)クルッ

 

だったように思います。

会然TREK▲03では平素より客席をじっと見つめる時間が長かったような印象で…

とにかく今公演は逆境に次ぐ逆境を乗り越えての開催でした。こみ上げるものがあったのか…客を含めて会場内が自分以外全員覆面という状況に何か思うところがあったりしたのか…胸の内が気になるところです。

 

客電が点いた後も、散発的に「平沢さんありがとう!」のコールが長く続いていました。

会場外で会うフォロワーさん会うフォロワーさんほぼ全員挨拶か合い言葉のように「こよーてええええええええええええ!!!!!(涙声)」が第一声だったのが、なんだかこうとっても心はひとつという感じでした。

 

 

今世はまさに核P-MODELという情勢の中開催された▲03の公演、一体どれほど鬱屈をぶっ飛ばすが如く凄まじいことになるのだろうと想像していたのですが、意外にも事前の予想とは全く正反対に、攻撃的な曲はほぼなく(遮眼大師と「悪のメソッド」の部分くらいですかね)、あたたかな、優しい、そしてこのような時期だからこそひとりひとりがどう考え前向きに生きていくべきかのひとつの指針となるような力強いライブでした。

ヴァーチュアル・ラビット2やコヨーテなどに特に顕著でしたが、平沢さんはMC等での純朴な言葉ではなくただひたすら音楽で雄弁に伝えようとされていると。

 

以前にimagoという雑誌の寄稿で語られている通り、「音楽が果たすべき役割」を常に一貫して体現されているのだな、と。

(下にimagoのリンクを貼りましたが、アフィではないので気兼ねなくクリックしてみて下さいね)てかマケプレ価格たっか…

 

音楽の持つ力を、プラスの方向に最も効果的に放つために、本番一週間前のギリッギリまで曲順をずっと考え続けておられたのかなと思いました。

 

周りがどうであろうとも、引きずられるな、俯くな、顔を上げて今できる最前を尽くせ、と激励されているようで。

すべてよし、それでよし。

 

会場入口の両脇を固めていた白いテント、サーモグラフィーや医師の手配、ロビーに大量に並べられた消毒液を見れば、この開催が実現するまでに一体どれほどの人たちが奔走し、採算度外視で尽力してくれたのだろうと、 深く深く頭が下がる思いです。

 

平沢さん、かけがえのない2日間を本当にありがとうございました!

 

 

 

 

会然TREK 2K20▲03@Zepp Tokyo 1日目

 

こんにちは。

会然TREK 2K20▼02のライブレポを綴らねばと思いながら3週間が過ぎてしまいました。

落ち着けるタイミングで…などどグダグダしているうちに東京公演開幕当日です。

すみません、大阪公演についてはいずれ、レポという気概は捨て、思い出話的な形で後日ざっくり記しますね。

 

 

そんなわけで、会然TREK2K20▲03 1日目について、2日目に上書きされる前に覚えている限り記しておきたいと思います。

 

 

会然TREK2K20▲03

 

2020年3月13日

Zepp Tokyo

 

OPEN 18:00

START 19:00

 

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コロナウィルスによる世界的混乱、首相要請を受けての国内に蔓延するイベント関連がことごとく自粛になるムードの中、[中止]や[延期]の文字群の渦の中に燦然と輝くなんとも頼もしい【本日開催】の文字!(Zepp Tokyo公式サイトよりスクショ)

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主催側の徹底した対策が最大級の本気でした。

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16時半過ぎ頃に会場前の待機ゾーンにいたのですが、換気対策もあってかドアがひとつ開けっぱなしだったので、リハーサルの音がもはやストリートライブくらいの音量で響き渡っていて、後半曲のネタバレが凄まじかったです。

おそらく長年のファンにとっては爆弾であろうメロディ及び伸びやかな声に一足早く被弾しておりました。メディーック…!

要所要所の確認、などではなくまるっとフル演奏でリハーサルするんですね。

 

 

入場時は整理番号A番台前半はひとりずつ呼ばれていたので、なんとなく看守に点呼される囚人感があって良かったです。

2列に並んで、ハンディサーモグラフィーで体温を測られて入場です。

なんとなく翔んで埼玉のSAT(埼玉アタックチーム)の光線銃(ドライヤー)を思い出していました。

 

 

実はこの日チケットは落選していたのですが、即座にナンパしたフォロワーの方から快くお恵みいただき、下手側の比較的前方で一緒に見ることができました。とても楽しかった〜。

1枚購入しか経験がなく、連番で一緒に入場というのは初体験でした。

 

今回は横一列に並んだモニター、その中央に巨大な三角形が。

大阪とは向きが逆ですね。中央に渦がありとても威圧感が凄まじかったです。某秘密結社のロゴマークよりよっぽど禍々しい雰囲気でした(笑)

下手側にサイレントチェロやいくつかのパッド(平沢さん曰く「ボタン」)が置かれた会人2人用の山台、上手側に勇壮なドラムセット。

中央にはお馴染みの形態のレーザーハープ。Twitterで仰っていたスケルトン仕様は次回以降かな。

平沢さんの立つ山台から階段が伸び、真後ろにさらに高く設置された台に連なっています。語彙力がないのでお立ち台としか形容できません。台の左右に照明が組み込まれていました。

演者の立ち位置は第9曼荼羅東京公演の時と同じ配置でした。ああ、会人さんを並べるとまた楽しいことになってしまうなぁ…とウキウキしてしまいます。

 

19時を過ぎても松村舞台監督がギター等のチェックをされておりました。回=回の時の黒い物販Tシャツでした。

入場の手間もあって少しばかり押したかな。

いつもの開演前アナウンスに感染対策の諸注意が盛り込まれていて気が引き締まります。

 

会人さん達と平沢さんは下手袖からの登場、東京公演のみサポート参加のユージ・レルレ・カワグチ氏は上手袖からの登場。

今回はあまり時間を空けずに続々と袖から出てこられましたね。

 

 

【セットリスト】(平沢さん曰く『曲順』)

 

1.SPEED TUBE

2.RUKTUN OR DIE (台)

3.巡航プシクラオン

4.ヴァーチュアル・ラビット2

5.MOTHER

6.Parallel Kozak (台)

7.Switched-On Lotus (台)(Godin使用)

8.Leak

9.橋大工

10.HUMAN-LE

11.帆船108

12.上空初期値

13.白く巨大で

14.LOOPING OPPOSITION (台)

15.おやすみDOG

16.Phonon Belt

-Encore-

17.遮眼大師 (台)

18.PLANET-HOME

 

(台)は平沢さんがお立ち台に登った曲です。

 他にもあったかもですが確実に覚えてるのは上記。

 

 

今回はまさかの『機器トラブルのためYouTube配信はない』という、一部ならともかくまるっとなしなのは宅オ史上初?の非常事態のため、なんとしてもセトリは自力で覚えねばと気合入れました。

戦法STSの時は5曲ぽっちが覚えられそうもなくて手にペンで書いてましたが、今回は筆記用具なんて持ってきてないので完全に試される記憶力です。よう頑張ってくれたよ我が海馬…

 

諸般の事情もあるのでしょうが、大阪では健気に頑張ってくれた魚眼無効くんこと、接続師さん謹製のカメラロボットくんの姿は見えませんでした。

 

核P曲とソロ曲が混合する、実質『HYBRID PHONON2』とは巷で呼ばれておりましたが、本当にハイノン最終日に客を狂乱させたSPEED TUBEがのっけからくるとは思いませんでした。

不穏にして重厚な出囃子から、まさかそんな疾走系キラーチューンに繋がるとは、です。

 

続けてルクトゥン…いやいやいやいやいやにわかには信じがたいでしょうこの流れ…

絶景クリスマスでヒカシューと共に、巻上さんが歌うバージョンは堪能していましたが、まさか御本家を浴びられる日が来るとは…

お立ち台の上から下手側のステージ下で撮影しているカメラマンに気づいて、歌いながらカメラに向かって一瞬にして撮影用のキリリ顔になられたのは流石でした。被写体としてのプロ根性を見ました。

メモリアルカードに収録してほしいなぁこのキリリ顔。

 

核Pからの1曲目、つまり生ドラム一番乗りは巡航プシクラオンでしたね。

濃厚接触を避けろという御触れがなんぼのもんじゃいとばかりに縦ノリ曲が続きます。

前半3曲のうちのどれかの間だったはずなんですが、平沢さん、PC画面を見ながら唇を引き結んで笑いを堪えてるようでした。何がツボったんだ。

 

 

そして満を持して?遠くコロナも届かないヴァーチュアル・ラビット2。ルクトゥンもそうですが、ギターリフの左手の跳躍がとてつもなくエグい。

なるべく発声を控えようというムードもなんぼのもんじゃいとばかりに「ハイ!ホー!」の大合唱をさせてくれた平沢さん。

本当にファンを安心させてくれるプロですよね。

 

しかし転換時〜イントロで照明が明るくなった瞬間、中央山台に松村さんが突如出現してビビりました。平沢さんの襟元の何かを調整されるのに苦心されていたようですが…近い近い近い、距離が近い、顔が高い。下手側の角度からだとそれはもう遠近法を駆使した擬似ラブシーンの構図になってましたよ…ねぇ…イチャイチャ演出をウリにするアイドルとか…ありますけど…まさか平沢進のライブでそれに近い卒倒沙汰になるとは…ねぇ…私三次腐じゃないんですけど…度し難い…実に度し難い…

 

続いてMOTHER…ちょっと待ってください(過去向く士ボイス)、平沢さん、私と米津玄師を殺す気ですか???

93317543さんがサイレントチェロを、66594428さんがバイオリンを奏でる還弦バージョンと生ドラムの雄々しさが加わって壮大感と荘厳感がとてつもなかったです。

大好きな曲のひとつなので、しかもそれを白沢さんが奏でていると堪らなくなって号泣してしまい、隣のフォロワーさんによしよしされてました。ありがとう…

 

またお立ち台に登ってのParallel Kozak

レルレさん、よくこのリズム完璧にしたな…

ライブのパラコザ時のように、最後のタメの後に会人さんと3人連動でスタイリッシュ片膝立て座り。

終了時、ギターを脱ぐ(と形容したい優雅な外し方だった)や否や台上に伏せ置き、松村さんからGodinを手渡され、ストラップをかけている間に椅子が設置され、座っている間に足掛け台が設置されと、何ひとつ無駄のない松村様の神業セッティング

足掛け台を一発セットですよ。微調整なしですよ。どれだけ阿吽の呼吸なんだって話ですよ。お立ち台でお座り台ですよ。

 

と見惚れているうちに横長大画面の面白衝突映像を見逃し、花のようにパッと艶やかに咲く照明に包まれてのSwitch-On Lotus

コーチジャケット及びラージバッグの伏線回収したり…!!

優しいアコギと会人さんの弦楽器の音色に見事に魂が天空に昇りました。

 

個人的に、この曲の間『床置きEVO』状態だったのがレアすぎてツボでした。そういえばEVOはサブ機と共にダブル抹茶でしたね。

 

Godinギターを松村さんに返し、Leakが始まるや否や同時に隣のフォロワーさんと手を取り合って泣き崩れました。

サビの時は全て、「りーくりーく♪」とレーザーハープを弾きながら平沢さんは客席をずっと見つめておられましたね。ぐるーっと巡らす感じではなく、あっちこっちそっちこっちに視線を向ける感じで。

眼差しがすごく優しかったような気がします。

 

からの橋大工。優しい曲が続く…ねぇ…いつまで泣いていれば良いの…

ちょっとWorld Cell 2015の2日目をしんみり思い出していました。

 

HUMAN-LE、何故かこの曲から突然音響のバランスがおかしくなり、平沢さんも歌いづらそうにずっと両手を耳に置いていたり、頻繁に卓を調整したりしていました。

Highレンジがキンキンする感じにキツかった印象…ちょっと耳が痛かったです。会場スピーカーの出力以上に打ち込み音源がイヤモニだとぐちゃぐちゃに聴こえていたのでは。

もしかしたら客席後方からの遠目だとわからなかったかもしれませんが、いきなり声が不調になったわけではなく、音響の暴走って感じでした。カラオケで例えると、メイン音量を上げすぎてリズムラインがわからなくなるとかそういう方向性だと思いました。

しかしながら、歌声に歌いづらさこそ滲んでいるものの音程は外さない…さすがです…

 

帆船108も謎音響続行でしたが、サビ後の低音部以外は平沢さん側の調整がそこそこ持ち直したように見えました。

レルレさんのドラムが良い感じに活きておりました。力強く櫂を漕ぐような(帆船なのに)

 

上空初期値、この曲の中盤でスタッフさんが会人山台のさらに後ろの何かの機材を腹這いになって調節に苦心されているようでした。このあたりからキンキン感が緩和した気がします。お疲れ様です…!

モニターの映像が抜けるような青空と白い雲で…高い高い視界に連れていってもらったような感動がありました。

伸びやかな声と共に左足でリズムを取る平沢さんが素敵でした。

 

ここから開場前に音漏れネタバレくらったゾーン突入です…とはいえいちいち新鮮に感動してしまいました。

 

白く巨大で、会人さんがふたりでまるで会話をしているかのような所作でわちゃわちゃとパッドを交互に操作していて、冒頭で平沢さんがふたりを真顔でガン見していたのが腹筋に悪かったです。

たっぷり会人さんいちゃつきタイムでした。

 

からのLOOPING OPPOSITION!!!!

ネタバレくらっていてなお新鮮に「ええええええええ」と吃驚してしまいました。ファンを優しい曲で包み込んだ直後にいきなり殺しにかかってきた

曲中ずっとお立ち台に屹立されていたので、こちらの方がよっぽど平沢さんが白く巨大でした。雄々しい仁王立ちでの「それでよーし!」「すべてよーし!」の強制肯定感、ミッドサマーを超えるセラピーっぷりでしたよ。

Twitterで事前に漏らしていた『あの日 列で撃たれた 本望の花』が声に放たれた瞬間小さい歓声が上がりました。

なるほど会人さんのリクエストからのアレンジ…かぁ…(尊さに打ち震える心)

 

スグリーンの背景画面に無数に乱舞する白文字の乱数と、時折浮かび上がる大きめの2K2003の明朝体が、乱数を従えるボスって雰囲気でめちゃくちゃカッコ良かったです。

 

でそのままお立ち台に聳えながらのおやすみDOG「寝た犬起こすな」の連呼がもうダークサイド度180%アップで…これが核P仕様か…

時期が時期でなければ狂乱のモッシュピット発生不可避曲…と思っていたんですが、わりと「会然TREKの新曲かな?」キョトンとされている方も多かったようで…なるほど、この2曲が現在新品商品として聴けるのは太陽系亞種音だけなんですね…(高額かつ絶賛売り切れ中)

『昔からのファンに支えられている』ではなく、『過去曲履修がおっつかないほど沢山の新しいファンが続々と増えている』という現状を肌で感じました。

平沢さんは本当に凄いなぁ…

 

というかもうこの2曲の巨大を背後に従えた平沢さんがですね!屹然と!慄然と!かっこいいにも程があったので!!!!!

何よりバスドラの圧が!!!あと赤いギターを弾いていると見せかけて、ボディ部を片手でボンゴのようにボンボコ叩いて踊ってただけの6さんが最高にロックで爆笑したので!!

DVD収録してください!!!ほんと!!!お願いします!!!(五体投地)

 

このあたりのどこかの曲で、バックモニターがステージの演者の映像を流していたんですが、何しろ横長の画面なもので、平沢さんの魅惑のおでこズームタイムだったり、唇ズームタイムだったり、顎ズームタイムだったり、平沢さんの顔パーツ徹底解剖!みたいな様相になっていたのがとても破壊力抜群でした。ほんまに髭ないなぁ。

 

ここで荒ぶりすぎた御霊を鎮めにかかるかのようにPhonon Beltの音の帯が暗がりを割いていきました。

いつか生で聴きたかった曲がまた…(号泣)

 

「ありがとう」とひとこと置いて退場。

アンコールの要求から平沢さんの再登場まで、知る限り過去最短でした。1分もなかったのでは?

客にあまり声を出させないように配慮してくださったのかな…

 

宅オについての説明やライブ決行についての経緯やコロナが云々といった俗世の話は一切なく、

 

「大阪公演はドラマ仕立てで、またああいう形のライブをやりたいと思っている」という旨のお話。

 

ライブとしての世界観を壊さないことを徹底しているなと感服しました。

 

「サポートメンバーを紹介します、ドラム!ユージ・カワグチ…ユージ・レルレ・カワグチ!」

 

やっぱりゲスト名を噛んでしまうラスボスと、ダブルピースを高く掲げて元気にご登場のレルレさん。

 

「そして例によって会人!(机のカンペを思いっきり覗き込みながら)66594428、と書いて、TAZZ!」

「そして(机のカンペを思いっきり覗以下略)93317543、(ここで「よく噛まずに言えたね!えらい!」的な雰囲気の歓声が上がる)と書いて、SSHO!」

 

「以上のメンバーでお送りします」

 

と、このライブが初見の人には何が何やらさっぱりな最低限の紹介だけを済ませて照明は暗転、アンコールへ…

 

 

新世紀会然TREK 第3話

 

い、音源

 

 

「……」

 

「状況を」

 

「ダメですか」

 

何故か握った拳を頭上に掲げながら(くまちゃんの耳を作るようなポーズ、あるいは「推しが武道館いってくれたら死ぬ」のれおちゃんがくまささんにレスするときのポーズをご想像下さい)下手側袖に何度も確認する平沢さん。

 

さらに左手を突然二本指を立てたピストル状態「キュッ!」と下手袖に振り下ろすもんだから頭の情報処理がちょっと追いつきませんでした。

さっきまでの雄々しい体育会系教祖感はどこへ…なんですかその…かわ…ゲフン、お茶目な所作は…

 

後に調べて知りましたが、舞台用語で転換合図の「キュー」だったんですね。

「ハイ音出して!」とスタッフで遊んだのですね。

音出ませんでしたけどね。

ちょっとレアな舞台裏での統括者としての平沢さんが見れてしまったようでドキドキしました。

 

客からの「がんばれー!」の声援が飛び、ヒーローショーみたいな温かい空気感が漂い始めたあたりで舞台袖からスタッフが懐中電灯で円を描いて合図し、ようやくアンコールの遮眼大師開始です。

 

いやぁ、トラブルって楽しいですね。

 

お立ち台に登り、ギターをおったてたキメポーズでマントラを撃つと同時にビカーーーー!!!!と光るお立ち台の照明!今か!ここで光るのか!お前がマントラだったのか!!

 

ギターを立てる際、いつも右手をギターの底部に添えているのですが、2番のマントラの時は何故か右手を腰に手を当てていて、もしかして痛めたのでは…??とちょっとハラハラしました。3番では普通のモーションに戻っていたし、声も動きも絶好調で特に問題はなさそうで良かった…

 

そう、声が、音響的にちょっと歌いづらそうなところはあったものの、初っ端から最後まで2K2002の2日目に匹敵、または回=回豊洲追加公演並みに歌声が絶好調でした。初日にあるまじき(失礼)喉からCD音源以上の迫力の完成度です。

 

最後は柔らかくPLANET-HOME

バックモニターに回=回で拝見した無限回廊の映像が流れて、色々な懐かしさが込み上げました。

平沢さんの声がねぇ、シャウト部はもうドカーンと強いし、こういった曲はとっても優しい歌い方で、このご時世、体調管理を徹底して参加できた人も、大切な人のために歯を食いしばって涙を飲んだ人も、何よりこの国全体、いや世界中を席巻する逆風の中で主催側で頑張ってくれた人達も、全員が全員それぞれの戦いの果てに迎えたこの日を優しく祝福するかのようなエンディングでした。

 

私の心のHOMEは、やっぱり平沢進です。

 

…しかしそこはさすがトラブルの神に愛されしヒラサワ、曲の後半、手をペットボトルに引っ掛けてしまって水バッシャア!!な事態に。

平沢さんが事態を把握するまでに1秒くらい要してませんでしたか?一瞬固まってたのがおいたわしやでした。

その間にもデスクに横に倒れたクリスタルガイザーの中身が半分くらいダバダバと床に降り注ぐ

 

エフェクター逃げてー!!!!

 

感動の大団円を台無しにしちゃう(むしろある意味より最高のクライマックスにしてしまう)平沢さんが大好きです。

 

 

 

なるべく記憶に残っているうちに留めておきたくて、綴っていたら長くなってしまいました。

抜けている部分、MCの正確な言葉等の乖離は何卒ご容赦下さい。ニュアンスは合っているはず…

 

慌てて打ち込んだ何の体裁も整えていない長文をここまで読んでいただき、本当にありがとうございます。

 

 

さて!これより会然TREK2K2003の2日目に行ってきまーす!

40秒で支度しな!私!

 

 

 

『達人の山』の歌詞が美しすぎてやばい

 

 

 

こんにちは、ともぞうです。

おひさしぶりです。

 

突然ですが、私は常々平沢進氏のアルバム『賢者のプロペラ』は文学芸術であると思っております。

歌詞やGhost Notes、Phantom Notes等をはじめとして氏の紡ぐ文章には独特の格調高さを纏った世界観が雄大に広がっておりますが、中でも群を抜いて秀逸と思うのが、昨今では聴く頭痛薬としても名高くなってしまったアルバム『賢者のプロペラ』です。

情景描写としては歴代頂点ではないでしょうか(個人の感想です)

コンセプトや制作時期の関係もあるのでしょうが、氏の歌詞に点在する比喩隠喩に潜む風刺批判的な毒素が薄く、とにかく描かれる情景が気高く儚く優しく美しいのです。

サウンドにおける新たな挑戦、とか、歌詞に込められたメッセージとは、とか、考察とかがどうでも良くなってしまうくらい圧倒的な美しさがただ静謐と在るのです。

 

個人的な最優秀情景描写大賞は『賢者のプロペラ2』なのですが…ってこれも好き曲と同じで日替わりで入れ替わってしまうのですけども、今回はさらっと『達人の山』を例として語らせて下さい。

なんで『達人の山』をセレクトかといいますと、昨日久々に聴いて、その言葉のあまりの美しさに情緒が限界を迎えたからという短絡的な理由です。

 

意味考察はしません(できません。汗)

 

 

『達人の山』の歌詞は以下です。

 

花は蒔かれた何万も キミの行く道の上
無き者のように目を閉じて呼びかけた遥かから
愛のような日が怪力で来る

 

街をまたいで吹きあがる何万の電光は
石くれに住む黄金の沈黙の歌い声
愛のような日を怪力で招く

 

川沿いに立ち断念の日を焼いて暖を取れ
遥か遠くで達人のキミを呼ぶ琴の音に
愛のような日が怪力で来る

 

 

どうですかこの孤高にして崇高な世界観…(憧憬)

2番では『夜』という単語を一切使わずして、人々が生活を営む街の夜景であることを浮かび上がらせてきます。すごい。

 

共通項として、1行目で『情景』、2行目で『音』が描かれています。

 

1番は『道』、2番は『街』、三番は『川』

そして『呼びかけた』『歌い声』『琴の音』

 

ただ音は音でも、「遥かから『呼びかけた』」「沈黙の『歌い声』」「キミを呼ぶ『琴の音』」なので、おそらく特定対象である『キミ』以外には届かないような淡い音(もはや思念の域)という印象です。

 

視覚に訴える客観情景→聴覚あるいは心情に訴える主観情景→未来情景

 

という構造が三度繰り返されます。

 

 

冒頭の

 

花は蒔かれた何万も キミの行く道の上

 

 

①桜などの花びらが道に舞い散る春の日の風景

②花が咲き乱れる広大な野原の風景

③結婚式

④葬列

 

等々、様々な解釈が可能なのですが、③や④の設定と仮定して3番の「断念の日」を迎えると激エモで激しんどくなりませんか…

私は④を踏まえてもしも「無き者」「亡き者」ダブルミーニングだったりしたらしんどすぎて蹲ってしまう派です…(何)

②だと『ロタティオン(LOTUS-2)』の情景とリンクしてさらにしんどくなってしまいますよね…

 

3番の「暖を取れ」でそれが肌寒い日であることがわかりますので、1番の「花」を造花などでなく季節の生花と解釈するなら、この曲は肌寒い春の日の一日の描写かもしれませんし、春から秋冬に季節が遷移したのかもしれませんし、もしかしたら年単位の長い時間を経ているのかもしれません。

何が言いたいかというと、各1行目に時間の流れが配置されることにより、歌詞世界が進行する物語として成立しているわけです。

 

この歌詞が達人の三人称で書かれているとしたら、つまり語り手=達人であるなら、「キミ」に対する純粋な思慕の念が読み取れます。

しかし無人称表現として語り手≠達人であるなら、あら不思議、途端に仄暗い情念がサビから滲み出てきてしまいますね(笑)

 

そしてクライマックス。美しい情景と繊細な心情が織り成した無垢な世界に、突如として「怪力」という強い単語が参入してくる、このカタルシス

硝子細工のような日常が容赦なく覆されるような、圧倒的な無常に襲われませんか。

 

たった9行です。

おそらく錬金術とかユング心理学とかそういった深い暗喩も潜んでいるのではとは思いますが、そういった考察やヴォーカルの後ろで踊るホルンが好きとかギターソロが胸に迫るとかの音関連も一切合切さっぱり無視して、ただ9行の文字情報を表面だけざっくり追っただけでこの密度。

 

ね、とてつもない文学芸術でしょう?

 

芸術文学、ではないです、あくまでも。

文字で奏でられる芸術。

 

メロディありきの歌の詞でありながら、文字のみで味わう詩としても最高峰ですよね、本当に。

『賢者のプロペラ』インストゥルメンタル曲を除いたほぼ全曲、平沢さんの繊細にして圧倒的な感性と情景描写力に打ちのめされるアルバムです。 

 

何より、全編にわたってサウンドがとても温かい。

魂が音のおくるみでふわりと包まれるような気持ちになります。

 

 

賢プロはいいぞ。

 

 

そしていつの間にか公式の在庫が復活していたね!やったね! 

 

shop.teslakite.com

明けましておめでとうございます

 

 

三ヶ日も恙無く…恙無さすぎのまま終わってしまいました。

何してたのか記憶ないぞ…何してたんだ…ねぇ…年が明けてフジロック完全版の平沢さんに初詣して以来何してたの私…

 

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

 

 

知る人ぞ知る…某世界最大最古の人工ピラミッドへ世間一般的な意味での初詣に行ってきました。

 

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浪漫溢れる看板の文字の視認性がどんどん落ちてきてしまってて切ないです…

 

とある場所にゼロ磁場とも言われる井戸があるのですが、久々に訪れたらピラミッドがお供えされていてほっこりしました。

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2020年も皆様にとって素晴らしい一年となりますようご祈念申し上げます。

 

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