GOK SOUND スタジオツアー

 

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2回目のクラウドファンディングに新たに登場したプラン、GOK SOUNDスタジオツアーに参加しました!

都外からの参加となってしまうため、持参したポカリのパウチと水以外は飲まず食わず、必要最低限MAXの日帰り弾丸で行ってきました。

 

前週のフジロック平沢進+会人のサポートドラマーとしてご出演されたのをはじめ、日本全国津々浦々で大活躍中のドラマー、#STDRUMSユージ・レルレ・カワグチ氏のゲスト回です。この日のツアーの前日と翌日にもライブを控えていたお忙しい身であります。バイタリティすごいなぁ……!

 

スタジオは懐かしのスターパインズカフェさんから徒歩3分くらい。超ご近所さんでびっくりしました。

入口をくぐり階段を下りて行くと、音楽スタジオや楽屋特有の、私の大好きな音楽の匂いが満ちていました。階段の壁には数多のポスターやフライヤー、低くなっている木製の天井には多くのアーティストのサインやメッセージがびっしりと。

ドアにはネコチャン、中に入るとレルレさんのアナログレコードLOTUS ROOTの温かい響きが迎えてくれました。

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GOK SOUNDスタジオ代表・サウンドエンジニアの近藤祥昭氏は、お話しされている姿は昨年末の平沢進さんとのドネーション対談で拝見した以来でしたが、 映像から受けた印象よりももっとずーっと物腰が柔らかなお方でした。

マスクから覗く優しげな目元が常ににっこりと微笑んでおられて。

私などのおどついた素人丸出し質問も、レルレさんの歯に衣着せぬ元気なトークも全く同じ穏やかさでじっくり聞いてくれて、春のそよ風のようなふわりとした空気を纏っておられました。

あと、もしかしたら失礼かもしれませんが、某御仁並みの細い美脚でびっくりしました……(己の桜島大根をそっと隠す)


まずはBスタジオLスタジオLC Mix Roomの順に、近藤さんをツアーガイドにぞろぞろとスタジオ内見学。

参加者は女性のみで、うちひとりはお母様と連れ立って来られたかわいらしいお嬢様でした。

近藤さんがドラムを叩いた際、大きな音にびっくりしてしまった女の子に、ごめんね~ と優しく微笑んで、 改めてそおっと小さくスネアを叩いてあげる図に癒されました……。老紳士と少女の図は和みます……。


Bスタジオにはぴっちりとピアノが鎮座するブースと、ヴォーカルブースとしても使える前室を備えたスタジオ。

ド素人の我々向けにもわかりやすく初歩の初歩から、天井近くに設置された大スピーカーやマイクについて解説いただきました。

そういえばマイクのプラグ内には差し込み口が3点あるのですが 、これは1本のシールドの中に3本のケーブルが入っているから、という構造を易しく教えてもらいました。マイマイクもマイシールドも所持しているくせに、いやぁお恥ずかしながら初めて知りました。

以前に短期間、 趣味の集まりでヘヴィメタルコピーバンドでちょこっと歌っていた時代があり、10年振りくらいにSHURE 58のマイクを握りまして、こっそり感慨に耽ってました。やっばりスタジオ備え付けといえばごっぱーなのですね。(ところで私はごっぱちと呼んでおりました)

パワードミキサーのツマミやプリセット設定を実際にいじらせてもらい、スピーカーからの聞こえ方の違いを体験してみようということで「あー」と声を入れてみる際も、スタッフさんがしっかり前後にマイクを消毒して下さいました。

近藤さんにマイクをパスすると、「ワレワレハ~」 とお茶目なことを(笑)


Lスタジオは広く、ミニライブも可能なステージとアリーナがある空間。

入った瞬間どえりゃー存在感のあるマネキンのダミーヘッドマイクが視界に飛び込んできて変な声が出ました。(写真撮り損ねたのは不覚)

両耳の部分にマイクが仕込まれており、台座にも複数のバイノーラルマイク。

先日のドネーションセッションを終えたままの残り香の漂う空間。

ハーモニカはこのマイクで録ったんだよ、ドラムはこことこことここにマイクが設置されているよ、等々スタジオ内をぐるっと細かく解説いただきました。

 

そして隣のMixルームへ。

GOK SOUND様の公式HPのトップ

www.gok.jp

や、クラファンページ

camp-fire.jp

のスタジオ紹介欄などでお目にかかることができる威風堂々たる空間です。

スペースシップの操縦席のような視界に、私は完全におのぼりさんモードを発動していました。

レルレさんがLスタジオに入り、Mixルームからドラムのリアルタイムレコーディングに立ち会う形です。

FUSION PUNK MACHINE収録のside fallenのオケに乗って録音されたドラムを、リバーブさせたり、ディレイさせたり、レベルをいじくりまくったり、 音をカットしたりフェードアウトさせたり、畏れ多くもレルレさんの音源や録りたてほやほやのドラムを好き勝手に弄んで遊ばせてもらいました。

バーブとディレイの違いとか、これまでなんとなくふわっとした理解だったものも実際の加工音と共に詳しく解説いただけて、ようやく感覚として整理が出来たかもです。

最後に近藤さん曰く「悪魔のスイッチ(ニヤリ)」 ことコンプレッサーをご教授いただきました。 音がグッと融合されて引き締まる差分の違いを体験することが出来ました。

ちなみに平沢さんは長らくコンプレッサーは使わない派で、 90年代にようやく使用のお許しをいただけたのだとか。


MIX体験と銘打たれていた時間でしたが、 MIX以前にそもそもどこをどういじくるとどうなるかとか、近藤さんの「ここランプ壊れてるのw」にほのぼのしたりとか、 ウン千万円の歴史ある機材やでこれ……変なとこ押して壊したらどうしよう、とびくびくしつつツマミをギュインギュイン動かしてみたりとか、大変貴重な録りたての音を玩具にしただけで終了してしまいました……いけませんね、全世界のレルレさんファンに殺されても仕方ありませんね。


Mix Roomは圧倒されるほどの無数のケーブルが壁や天井を這っていて、ネズミに齧られたら大変だな……と思ったら、やはり一度ネズミに齧られたことがあるのだとか。ヒェ!

「だから猫の絵があるんですね」と別の参加者の方。

そういえば入口でも猫のイラストがお出迎えしてくれましたし、別の場所にも手描きの猫がいらっしゃいました。

ネズミ避けはさておき、昔スタジオで猫を飼っておられたそうです。

膝に乗ってきちゃうと抗えないですよね、と破顔されていた近藤さんの表情に、当時の猫奴隷っぷりが垣間見えてほっこりしました。

ところで白いオタマトーンがMix Roomの棚にポンと置かれて愛らしい異彩を放っていました。

 

「カワグチさん」と呼びかける近藤さんが、なんだかとても丁寧な雰囲気で良いなぁと思いました。なんだろう、上手く言葉にはできないのですが、ふとしたささやかなやりとりに、プロ同士が共有する独特の空気感がありました。

 

コンソールルームの真後ろには磁気テープのアナログレコーダーがあり、なめらかで美しい動きを見せていました。

レルレさん曰く、現物を置いてあるスタジオは他にも存在するものの、現役稼働しているのはGOK SOUNDでしか見たことがない、と。


MIX体験は締めとして近藤さんの実際のMIXの風景を見せていただきました。

手元が全く動いていないように見えて、微細に繊細にバランスを調整している匠の手際でした。たくさんの音を一度に捌ききる背中がとてもかっこよかったなぁ。

 

レルレさんと言葉を交わさせていただいたのは、一昨年の戦法STS名古屋公演以来でしたが……風格が出た、と感じました。

もしかしたらお酒の有無の差なのかもしれませんが(笑)、お話の中で、アーティストとしての真摯な鋼鉄の芯がビシバシ伝わってきました。

530枚限定だったLOTUS ROOTのレコードは自分のための1枚が欲しいから作り、ついでに529枚作った。他者の評価は関係ない、自分が作りたいから作った、と。( レコードの原価聞いて私は卒倒しました)

LOTUS ROOTといえば、曲名をド忘れして伝えそびれてしまい後悔してるのですが、CHOKING SENCEのブラストビートがめちゃくちゃ大好きです。

あのね、本当に凄いですこの人、某ボスが鉄砲玉だの性格がかんたん!だの描写されていたことがありますが、それはボスだから許されることなのであって、 間違ってもリスナーごときがその流儀に便乗してご本人に接しに行ってはいけませんよ。

戦法STS名古屋の時に、ずっと居て下さい、とレルレさんに言ったら「ねー、ずっといたいよね! 公式に言ってください!」と笑って返してくださいました。それから2年近く経ち、フジロック2021に至るまで居てくださって本当に嬉しいです。

戦法STS、会然TREK2K20▲03とご出演された際は、立て続けに配信がなく、現地組以外の全国のファンと共有叶わずもったいないと指を噛んでいました。フジロックでは配信の瞬間最大視聴数が13万人を超えたと聞き及び、願ってた以上に念願が叶ったぞと2年前の自分に教えてあげたいです。

 

レコードの溝は一本なのにどうして音がLRに振り分けられるのか?とレルレさんに聞かれ、そもそも考えたこともなかったなぁとハッとしました。針が左右に振れるとステレオ、 縦に刻まれるとモノラルになる仕組みなのですね。

レルレさんと近藤さんの出会いのエピソードも、さすが近藤さん……!歩く献身……!という感じで凄かったです。

先週はフジロックお疲れ様でした!と直接ご本人にお伝えできたのは僥倖でした。

さすが豪胆なレルレさん、せっかくの野外だったんだからいっそもっと思いっきり雨降ったら良かったんスよ、と不敵に笑っておられました。っょぃ。

他、こまごまとした素人の疑問にもお答えいただき、 計3時間の密度の濃い時間を過ごさせていただきました。

唯一の心残りは、Mix Roomでレルレさんのドラムを聴いていたため直接浴びられなかったことかな。いずれまた改めてライブに行かねばと決意したのでありました。

 

例えばラジオ等で流すことを前提とした際など、 高域をカットして低域を強める等、様々な状況に応じたMIXが成されたりするそうです。

でもやはり人は耳だけでなく、全身で音を感じているのだと近藤さんは仰っていました。肌が粟立って、内臓が振動して、聴覚の可聴域外の音さえもどこかで認識して。

コロナ禍以降インターネットでの配信ライブも定着化しつつありますが、やはりどう足掻いても現地で全身で体感するライブの完全な代替にはなり得ません。

現在は個人が自宅のソフトウェアでMIXもできてしまう時代ですが、やはりアナログゆえの温かみも同じように完璧な代替とはなり得ないものだと思います。

磁気テープのリールが巻き取られる動作は、ずっと見ていたくなるなめらかで繊細な美しさがありました。

この、数多のミュージシャンの存在感の地層が降り積もったスタジオの匂いは、無くしてはいけない音楽の無形文化財だと思います。

 

もっと色々と興味深いお話を聞けたものの、書ききれなかったり、メモを取っていなかったので記憶から溢れてしまっていたり、上述の記載ももしかしたら細かい部分に記憶違い等ある可能性もありますが、何卒ご容赦くださいませ。

GOK SOUNDの皆様、ユージ・レルレ・カワグチ様、この度はクラファンのきっかけがなければ決して足を踏み入れることができなかったであろう空間を体験できる貴重な機会を本当にありがとうございました!

またこの空間にお邪魔したいなぁ……どなたかLスタジオでライブやってくれないかなぁ……

 

ここまで長々とお読みいただき、心より感謝申し上げます!

 

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レルレさんのインタビュー掲載の雑誌に、おふたかたのサインいただきました♡